2026.06.03
M&A・統合
負債としての「物語」
対話や社風の理解等の定性的な準備にもかかわらず、買収後に想定したパフォーマンスを発揮できない会社があります。
私はその一因を、旧経営陣と従業員の間にあった「物語」という非金銭的債務とみています。従業員のアウトプットに対して待遇が低い組織では、その差分を「成長機会」「社会的意義」といった物語で支払っています。M&Aはこの物語の履行者を消滅させます。従業員のざわつきは未知への恐れだけではなく、自分たちが投資してきた物語のデフォルトに対する拒否反応でもあります。
M&Aの買い手にとって物語への対応は、引き継ぐか、金銭や制度で清算するかです。いずれも困難であれば、買収後に同様の財務パフォーマンスを再現することは難しいでしょう。