2026.03.03
資本配分
企業価値のドライバーと認知資源
私が仕えた印象的なマネジメントで、厚い資料で説明すると不機嫌になる方がいました。曰く「で、結局どうしたい」。私はマネジメントに中間成果物を渡して認知資源を奪い、怒りに触れていたわけです。さて、資本配分を社外に伝える時、同じ轍を踏んでいないでしょうか。
話を単純化するために、以前も用いたゴードンモデルを使いましょう。
PV = FCF / (r − g)
企業価値PVを把握するために必要なのは、フリーキャッシュフローFCF、資本コストr、成長率gです。FCFは税引後利益から投資額を控除したものであり、将来の投資計画が必要になります。資本コストrは市場データから推計可能ですが、事業構造やリスクの説明はその前提を補強します。成長率gは、投資利回りと再投資率の積として分析できます。実績の投資利回りと再投資の予定はいくらか。これらが企業価値のドライバーです。
中期経営計画を含めた開示資料は、これらの要素に答えているでしょうか。ROICは投資利回りの指標の一つにすぎません。重要なのは、企業価値の決定要因と整合した情報を継続して提示することです。整合しない情報は、企業価値の評価に寄与しません。