資本配分と株主アクティビズム
株式市場は企業に資本コストと引き換えに資本性の資金を調達する制度です。
資本性の資金需要がある企業ほど資本コストによる規律は強く働き、需要がない企業ほど資本コストに対する感度は低いものとなるでしょう。
近年、上場企業の数に着目した議論が行わることがありますが、本質は社数ではなく、株式市場を資金調達手段として必要としない企業が増え、結果として資本コストに対する感度が低い企業が多い点にあると考えています。
資金は資本コストを上回る収益が見込める事業に配分されます。
そのような投資機会が見出せない場合には、配当や自己株買いによって株主に返還することが合理的です。
いわゆる株主アクティビズムは、この規律が十分に機能していない企業に対し、提案を通じて変化を促し、その過程から収益機会を見出す動きと整理できます。
従前は流動性の高い資産の処分が主な対象でしたが、近年は上記規律そのものの導入を対象としたものが多くなるとみています。
成長局面では売上や顧客数といった量的指標が重視され、資本効率への意識が薄くても許容される場合があります。
一方、成熟局面へ移行すると利益や資本コストといった質の議論を避けることはできません。
企業が成長局面にあるか成熟局面にあるかは市場全体の構造的要因の影響が大きく、個別企業でコントロールできる範囲は限定的です。
企業のポジショニングを大きく転換することは容易ではなく、とりわけ大規模組織ではなおさらです。
市場の成長鈍化を感知した際、質への転換を前提とした経営体制を整備できるかが一つの分水嶺になるでしょう。
質への転換後、投資機会が見出せないのであれば、その事業は資本性資金への需要が乏しい可能性があります。
その場合、上場の意義そのものを再検討することも合理的な選択肢となります。